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 病院、診療所または介護老人保健施設を開設しようとする社団または財団は、都道府県知事の認可を得て、医療法人を設立することができます。
 

 1 医療法人の目的

 2 医療法人の種類

 3 医療法人社団の設立

 4 医療法人社団の運営

 5 医療法人社団の解散

 6 医療法人社団の承継

| 医療法人

  医療法人として医療事業の経営主体を法人化することにより、次のような効果が期待できます。
 

(1)医療施設・設備の永続

 個人経営の場合、経営する医師や歯科医師個人の相続により診療所は廃止され、また相続税を負担するため診療所の土地などを売却しなければならないことがあります。

 医療法人となり医療施設を法人が所有することで、法人内の役員変更手続により後継者への事業承継を行うことができ、また医療施設について相続税の負担を避けることができます。
 

(2)資本の集積

 医療法人は、基金制度を利用することにより、医師や歯科医師以外の人々の出資を得て、高度医療機器を導入し医療の高度化を図ることができます。ただし、基金の返還にかかる債権には利息を付けることはできないため、実際に基金の拠出を第三者に求めるには困難が伴います。
 

(3)事業用財産の分離

 個人の家計から医療事業の財産が分離され、経営への意識を高めることができます。

 また、医師や歯科医師個人に適用される所得税は超過累進課税率であり収益が上がるに伴い税負担が大きくなりますが、法人化により医療事業に定率の法人税が適用されるため、給与その他の所得に適用される所得税と総合しても節税となる場合があります。

| 医療法人

(1)医療法人社団

 目的となる医療事業を行うため複数の人(社員)が集まり、資金、不動産、備品等を拠出して設立される医療法人です。

 剰余金の配当をすることはできず、法人が解散したときも残余財産は国、地方公共団体や他の医療機関に帰属し、社員に分配されることはありません(非営利性の徹底)。
 

  ※ 持分の定めのある医療法人社団

 改正医療法施行の平成19年4月1日より前に設立された医療法人社団については、定款により出資持分に応じて、社員に①退社時の持戻しと②清算時の残余財産の分配を行うことが認められていました。

 この持分の定めのある医療法人社団については、経過措置として当分の間、出資持分に関する定款の規定を変えないまま存続できるものとされています。
 

(2)医療法人財団

 個人や法人が医療事業のため無償で拠出する財産が主体となって設立される医療法人です。

 社員は存在せず、法人が解散すると、残余財産は国、地方公共団体や他の医療機関に帰属します。
 

  厚生労働省の統計によると、平成22年3月31日現在、医療法人数のうち、約99%を医療法人社団(持分の定めのある医療法人社団は約93%)が占めています。

| 医療法人

(1)設立手続の流れ

   医療法人の設立には、都道府県知事の認可が必要となります。認可申請の受付は、年2回(春と秋)に行われるのが通常で、同時期に申請ができるよう準備をする必要があります。
 

 ① 設立準備

     都道府県の説明会に参加し、設立認可申請書の作成方法などの説明を受けます。

  都道府県のモデル定款に沿って医療法人の定款案を作成し、また社員、拠出する財産、事業に必要な契約・負債の締結・承継、設立時役員・代表者を確定し、設立者で構成する設立総会を開催し、これらを承認します。

  定款には、法人の名称、目的、診療所等の名称・開設場所、事務所の所在地、資産・会計、役員、社員総会および社員資格の得喪、解散、定款変更、公告方法について規定を設けなければなりません。
 

 ② 設立認可申請書および添付書類の作成

  申請書および添付書類はかなりの量となります。都道府県のチェックリスト・記載例にしたがって作成します。
 

 ③ 仮受付、事前審査

    申請書一式を都道府県の担当部署に提出し、事前の審査を受け、補正や書類の追加等を行います。
 

 ④ 本申請、医療審議会の諮問

    申請書一式が受理され(本受付)、都道府県の医療審議会へ諮問がなされます。
 

 ⑤ 設立認可書交付

  審議会から1ヶ月程度で設立認可書が交付されます。説明会参加から認可書交付までおよそ半年ほどかかります。
 

 ⑥ 設立登記、登記の届出

  設立認可後、2週間以内に主たる事務所の所在地で設立の登記をし、医療法人が成立します。設立登記後、遅滞なく都道府県に登記した旨の届出を行います。
 

 ⑦ 保健所等への届出

  医療法人設立後、保健所に対して、診療所等開設許可の申請を行います。

  開設許可書を受領したした後、保健所に法人の診療所等開設届と個人の診療所廃止届を同時に提出し、法人としての事業を開始します。

  また、厚生局事務所に法人の保険医療機関指定申請書と個人の診療所廃止届を同時に提出し、保険医療機関の指定を受けます。

  入院施設がある場合、病床設置の許可等を受ける必要があります。

  その他、税務署等への税務に関する届出、社会保険事務所・労働基準監督署等への社会保険関係の届出が必要です。
 

(2)設立要件

  ① 人的要件

   イ 社員

 医療法人社団は「人」の集まりであり、この「人」を社員といいます。株式会社における株主のような存在で、従業員とは異なります。

 医療法人社団には、原則として3名以上の社員が必要になります。社員は自然人に限られ、医療法人や株式会社等は社員になれません。
 

   ロ 理事

 理事は、医療法人の役員として、その常務を処理します。医療法人の開設する診療所等の管理者は、理事となるものとされています。

     医療法人には、原則として3名以上の理事を置く必要があります。

 理事は自然人に限られます。社員や医師・歯科医師である必要はありませんが、被後見人や被保佐人などは理事になることはできません。また、未成年者、医療法人と取引関係にある企業の役員が理事となることも適当でないものとされています。
 

   ハ 理事長

    医療法人では、医師・歯科医師である理事の中から理事長を1名選任する必要があります。

     理事長は、医療法人を代表し、その業務を総理します。
 

   ニ 監事

 医療法人は、監事を1名以上置かなければなりません。監事は、医療法人の役員として、法人の財産状況と理事の業務執行に対する監査を行います。

 医療法人の理事や従業員が監事を兼ねることはできません。監事は、社員や医師・歯科医師である必要はありませんが、被後見人や被保佐人などは監事になることはできません。また、理事の親族や医療法人に出資している社員、医療法人と取引関係・顧問関係にある者なども監事として適当でないものとされています。
 

 ② 資産要件

 医療法人の設立にあたり、開設する診療所等の業務を行うために必要な施設、設備、または資金を拠出しなければなりません。

 定款で基金(利息や配当のつかない劣後債)に関する事項を定めることにより、設立時の社員以外の方から資金等を調達することもできます。
 

  イ 不動産

 医療法人の施設または設備は法人が所有すること、あるいは長期間にわたる賃貸借契約より賃借することが必要です。

 土地・建物を医療法人の理事長またはその親族等以外の者から賃借するときは、賃借権の登記をすることが望ましいとされています。
 

  ロ 資金

 健康保険等の収入の入金に2ヶ月程度かかるため、少なくとも2ヶ月以上の運転資金の拠出が必要です。
 

  ハ 負債

   拠出財産の取得時に発生した負債は、法人が引き継ぐことができます。

| 医療法人

  たとえば、医療法人社団の会計年度が毎年4月1日から翌年3月31日の場合、医療法および定款の規定に基づき以下の手続を年度ごとに行います。

  5月末日まで 理事会

(前年度の事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書(「事業報告書等」)の作成)

           事業報告書等を監事に提出

           資産総額の変更登記

  6月末日まで 監事が前年度の監査報告書を作成し、社員総会または理事に提出

           定時社員総会(前年度の決算確定、役員の改選ほか)

           理事長の改選(理事の改選があるとき)

           事業報告書等、監査報告書を都道府県知事に届出

           理事長の退任・就任登記(理事長の改選があるとき)

  3月ごろ    理事会(翌年度の予算案決定)

           定時社員総会(翌年度の予算承認)

(1)社員総会

 社員で構成される法人の最高意思決定機関です。年度ごと定期的に開催される定時総会と必要に応じて開催される臨時総会があります。

 会議の議決事項、手続は、医療法および定款の規定によりますが、次のような重要事項は、必ず社員総会の議決を必要としています。

   ① 定款変更

   ② 基本財産の設定・処分(担保提供を含む)

   ③ 毎事業年度の事業計画の決定・変更

   ④ 収支予算・決算の決定

   ⑤ 剰余金・損失金の処理

   ⑥ 借入金額の最高限度の決定

   ⑦ 社員の入社・除名

   ⑧ 解散

   ⑨ 合併及び分割
 

(2)理事会

(※ 平成28年9月1日施行の医療法に基づき、必置の機関となりました。定款に理事会に関する規定のない法人については、定款変更の手続が必要となります。)

 理事によって構成される法人の意思決定機関です。法人の運営について必要な事項の決定、理事の職務の監督、理事長の選出・解職等を行います。
 

(3)各種届出

  ① 決算届

  医療法人は、毎会計年度終了後2ヶ月以内に、事業報告書等を作成し、理事はそれを監事に提出しなければなりません。

  監事は、事業報告書等を受けて監査報告書を作成し、会計年度終了後3ヶ月以内に社員総会または理事に提出します。

  医療法人は、会計年度終了後3ヶ月以内に、決算届として事業報告書等および監事の監査報告書を都道府県知事に提出しなければなりません。

  都道府県知事は、請求があった場合、医療法人の定款および過去3年間に届け出られた事業報告書等、監査報告書を閲覧に供さなければなりません。請求する者に制限はないため、誰でもこれらの書類の閲覧を請求することができます。
 

  ② 役員変更届

  医療法人の役員(理事・監事)の任期は、2年を超えることはできませんが、再任することができます。役員の選任は、社員総会の決議をもって行います。

  医療法人は、役員に変更があった場合(再任する場合も含む)、役員変更届を都道府県知事に提出しなければなりません。

  ③ 登記届

     医療法人は、登記事項に変更があった場合、登記をしなければなりません。

     登記を行ったときは、その旨の届出を都道府県知事に提出しなければなりません。
 

  ④ 定款変更届

  同一都道府県内で事務所の所在地のみを変更したとき、定款変更届を都道府県知事に提出しなければなりません。他の都道府県に移転する場合、定款変更の認可申請が必要です。
 

(4)定款変更認可申請

 診療所等の開設・廃止、法人の名称の変更等を行う場合、定款の変更を行わなければなりません。

 医療法人が定款の変更をするには、社員総会の決議を経て、都道府県知事に対して定款変更認可申請を行い、その認可を受けなければなりません。

 変更事項により必要な書類が異なるため、担当部署への事前の相談が必要となるでしょう。
 

(5)登記

   医療法人の登記すべき事項は、次のとおりです。

   ① 目的及び業務

   ② 名称

   ③ 事務所の所在場所

   ④ 理事長の氏名・住所

   ⑤ 定款に解散事由を定めたときはその事由

   ⑥ 資産総額(正味財産の額)

資産総額の登記は、毎事業年度終了後2ヶ月以内に変更の登記をする必要があります。

その他の登記については、変更が生じた日から2週間以内に登記する必要があります。

  ※ 平成19年3月31日以前に就任した理事長の登記

  平成19年4月1日に施行された改正医療法以前では、役員の任期伸長規定が多くの医療法人の定款に設けられおり、この規定により後任者を選任しないまま任期が満了せず理事長変更の登記もしないということが認められていました。

  現在の医療法では、役員の任期伸長規定は認められておらず、2年で退任します。また、定款の変更手続をしていない場合であっても、すべての医療法人が改正法に沿った内容の定款を定めているものとみなされています。

  そのため、平成19年3月31日以前に就任した理事長の登記がそのままとなっている場合、当該理事長は任期満了により退任し、再任した旨の登記が懈怠していることになりますので注意が必要です。
 

(6)利益相反行為

 (※ 平成28年9月1日施行の医療法に基づき、特別代理人の制度は廃止されました)

 医療法人と理事個人(または理事の代表する法人)との間で利益の相反する取引を行う場合(医療法人が理事の不動産を賃借する場合、医療法人と理事の間で資産を売買する場合、理事の負債を医療法人が引き継ぐ場合、医療法人から理事から金銭を借り入れる場合など)、理事会において、取引について重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません。

 なお、取引を行う理事は、理事会の決議に参加することができません。

| 医療法人

  医療法人の解散事由については医療法に規定がありますが、社員総会の決議または社員の欠乏によって解散するのが一般的です。

  社員総会の決議による解散の場合、医療審議会の意見聴取の後、都道府県知事の認可によって解散の効力が発生します。そのため、解散の認可申請が必要となります。

  社員の欠乏による解散の場合、社員全員が法人に退社届を提出し、社員総会により解散の承認と清算人の選任を行います。定款に持分の定めがある場合、各社員に対して出資持分に応じた払戻しが必要になります。都道府県知事に対しては、解散の届出を行います。

  医療法人は公的性格をもつため、解散が容易に認められるとは限りません。そのため、解散にあたっては監督官庁と事前に打ち合わせを行っておく必要があります。

  解散後の手続きとして、①解散および清算人就任の登記と登記届、②債権者に対して請求を促す官報公告および催告、③清算結了登記とその届出が必要となります。

  なお、定款に持分の定めがある場合を除き、社員に残余財産の分配を行うことはできません。

| 医療法人

  医療機関の運営が思わしくない場合や適当な後継者がいない場合、医療法人の外部の者に経営権を譲渡することがあります。譲受人としても、既存の医療法人の経営権を得ることで、煩雑な手続をしないで施設、病床、顧客、人材などが確保できるといったメリットがあります。

  経営権譲渡の手続は、以下のような流れで行われます。

  ① 基本合意書の締結

    経営権の譲渡対価や支払方法、譲渡時期、秘密保持などについて基本合意をかわします。

  ② デュー・デリジェンス

    専門家の助力を得て、事業、財務、税務、法務、人事などの各観点からリスクを検討します。

  ③ 譲渡契約(本契約)の締結

    持分の定めがある場合、既存の出資持分を有する社員は持分を譲受人に譲渡するか、退社して持分の払戻しを受けることになります。

    持分の定めがない場合、譲渡対価は役員の退職金などを名目として支払われることになります。

  ④ 新社員の入社、既存社員の退社の承認に関する社員総会

    定款の規定により、社員の入社・退社には社員総会の決議が必要となります。

  ⑤ 出資持分の譲渡または払戻し

    譲渡対価を既存社員に配分します。

  ⑥ 新理事・監事を選任する社員総会

    既存の役員は社員総会終結時をもって退任します。

    退職金の取り決めがあれば、その承認の決議も行います。

  ⑦ 新理事長の選任

    新理事の互選によって選任します。

  ⑧ 各種届出

    都道府県知事への役員変更届のほか、保健所への開設許可事項の変更届、厚生局への保険医療機関の届出事項の変更届その他が、実情に応じて必要となります。

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